2018年6月8日金曜日

しあわせな愛はないですね ルイ・アラゴン


 
  男にとって得られたものは何もない、強さも、
 その弱さも、そして心も、彼が信じるとき
 手を広げて迎え入れるとき、その影は十字架
 そして彼がしあわせを抱きしめると砕いてしまう
 彼の人生はおかしな痛々しい別離

 しあわせは愛はないですね

 彼の人生は武器のない兵士達に似ている
 兵士達が別の運命を着ようとしたとき
朝起きることが彼らの何の役に立つのか
夜になれば寄る辺のない不確かさに戻されるのに
ああ人生、と言ってむせび泣きましょう

しあわせな愛はないですね

私のきれいな愛 大事な愛 引き裂かれた
私は私の中にそれを持っています、傷ついた鳥のように
そして私たちが過ぎて行くのを何も知らずに見ている人たち
私の編んだ言葉たちを後について繰り返してください
きみの大きな瞳にやがて すべて消えてしまう言葉たちでも

 しあわせな愛はないですね

 生きることを学ぶにはもう遅すぎる
 私たちは心ひとつになって 夜の中泣いている
 なぜかというと、ほんの少しの歌のために不幸が必要で
 なぜかというと、たったひとつの身振りのために悔恨を払わねばならず
 たった一くさりのギターのためにすすり泣かねばならないから

 しあわせな愛はないですね

 痛みでないような愛はない
 愛に傷つかないような愛はない
 クシャクシャに凋んでしまわないような愛もない
 国への思いと同じきみへの愛
 涙を生きない愛はない
 しあわせな愛はないです
 でもそれがわたしたち二人の愛なのです

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