2014年7月12日土曜日

Nevermore Verlaine 私訳

思い出、思い出、ぼくから何が欲しいんだい? 秋よ
ツグミを緩んだ空に飛ばせ、
そして太陽はひたすら注ぐ
気色ばんだ枝の上に、吹き荒れる北風のなか、

ぼくたちは一人、一人で、 夢見心地に歩いて、
彼女とぼく、髪と考え事を風に抱かれ、
突然、心打たれる様な眼差しでぼくに振り向き、
「あなたの一番大切な日をどうしたの?」
活き活きと輝く声でそう言った。

優しくてよく響く声、天使のような涼しい音色で、
慎ましい微笑みが応えた
そしてぼくは彼女の白い手をとった、敬虔に。

ああ、香しい最初の花々よ、
そして魅惑的な呟きの音よ
初めてのoui, こんなにも愛された唇から漏れ出た!


Poème Saturniesより)



2014年7月9日水曜日

Honyaku honey

Honyaku honey

(この文章はかつて発刊されていた東京パラダイスというものに書いていたものです)

 この夏は翻訳に心を奪われていた。大学時代、溜まり場だった研究室の隣に、沓掛(くつかけ)先生がいた頃はピエール・ルイスなんてちゃらいと思ってた。西ヶ原時代の講義では、サッカー部の練習前、グランドの見渡せる教室で、会議のグチとアフロディテが混ざりあって、ぼくはよく眠っていた。
この夏は、UAEのブリティッシュスクールに通う子を塾で教えていて、シェイクスピアのソネットの一番を訳した。生徒を持つのはいいものである、別れのつらさをソネットのプリントでごまかした。一人一人の生徒が輝かしい原石に思えた。塾に耐え、週末の花火を楽しみにしていた、あっくん、ネクタイしているぼくに、「先生も週末はウサギのTシャツ着るの?」と聞いた。授業に来てくれなかった生徒との約束の言葉が悲しく、腹立たしく、「Oui,oui」と授業中フランス語でぼやくと、メキシコの木俣くんは、「ああ、フランス語ができれば先生ともっと喋れるんだ」と泣かせることを言ってくれた。生徒との男同士の友情もあり、押しつけがましいポル・ポト的な握手もあり、ぼくは洗足池の校舎を愛していたのである。未来あるトルコの帰国子女、五十嵐君は、「東先生がぼくのライバルだ」と一番、教えた身としてうれしいことを言ってくれていたらしい。ぼくは少し早く生まれただけである。
さて、今後の指針であるが、人生の痛恨の一撃はツーコントローラの一撃ではないかとしばらく思っていたドラクエ世代、上海ハニーを歌っても浮いてしまう。安藤裕子の歌、のうぜんかつらの詞を英訳して配っても、ただのヘンタイじみてくる。パリのカチアに送っても、日本語でしか伝わらない何かまで、伝えることはできないのだ!沓掛先生と自分の詩の訳を見較べて、ぼくの方がポップだけど、先生の言葉に色気があり、分かりやすい、というか自分の解釈が未熟だったことに気づかされることしきり。

 牧笛
ヒュアキントスのお祭りのためにとて、あの人が
笛をくれた。みごとに切りそろえた葦の茎を
白蝋で固め合わせた笛。脣に当てれば蜜のような甘さ。
(沓掛良彦訳、『ビリティスの歌』、水声社、2003
牧神(パン)のフルート
ヒヤシンスたちの祭日()に、
パンはその(ふえ)をくれた
きれいに()(そろ)えられ
真白(まっしろ)(ろう)()われた
(くちびる)(みつ)のように甘い(あし)(ぶえ)

(あずまかずふみ訳、東京パラダイス、2007

2014年7月1日火曜日

集団的自衛権反対!(詩)

   集団的自衛権反対、
 したたり落ちる油は
 かつて人びとが搾り取られた
 それだけの資本の腐った脂
 ジュピターと歌ったユピテル
 サリハミジッチ、
 もう幸せな今の生活してるだろ、
 ぼくはぼくで、
 岩に籠もり、家に籠もり、
 人里に出るまで蟄居約10年、
 陽の光は陽の光、
 集団的自衛権反対!
 守られているのは誰のサイフ?
 攻撃されてるプライバシーって何?


「集団的自衛権」反対デモの様子


日比谷公園は花が豊富。




まず、ネコと遊ぶというか、ネコを発見。



そして、集団的自衛権反対デモへ、
戦争はみんなしたくないというコールを何回も個々の口から聴いた夜。







全学連、
政権即時打倒、という強いメッセージを何人も拡声器からは聴いた。
生活者の実感としてそうなのだろうか、とも思う。
集まった人数、メディアによれば2万5千、
やつらには数字が大事だ。個々に分け入って思考することもないわけだし。

高い車で、高い所から取材する、メディアも堕ちたものだと思うな。
それは記事を読む側がバカになったのかもしれない、眠ったままなのかもしれない。

全体的な印象としては、人びとの本当に戦争はいやだという表情、顔に励まされ、声に励まされ、本当に行ってよかったなと感じます。


Power to the people!

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